【いい料理道具は使ってこそ】暮らしを楽しむ人のキッチンをお手本に④(後編)
2023.2.8
そこに立つ人の生き方があらわれる「台所」。自分にとってどんな場所か、ときには模索してみるのもいいものです。これまでの記事では、そのヒントが見つかるような“台所時間が上手な人”のストーリーをお届けしてきました。前回より登場の4人目は、良い食材や道具選びにこだわる田中さん。“いい道具”も集めるだけでなく「使ってこそ」という境地に達した、現在の想いを話していただきました。
この記事は、Come home! vol.69より抜粋しています。
case 04 年月を経て 道具とともに育つキッチン
ル・クルーゼを使わず眺めていた20代
料理研究家の道具を追いかけた30代
いい道具は料理を楽しくするし
眺めても美しいものだって
実感したのは40代になってから
〈田中和恵さん〉

シェルフには毎日使う道具を。上段にはガラス製のポットやコーヒーメーカー、 下段には土物の鍋や竹ざるなどを置いています。
しまい込むと使わなくなるから
道具はぱっと手に取りやすく

バックカウンターの下もオープン収納にし、高さをそろえました。ブレッドケースには調味料、小引き出しにははし置きやコースターを。

ガラス瓶の中には調味料や乾物などを。カトラリーは木箱に。
調理道具に魅せられたのは、ひとり暮らしをしていた 20代のころ。初めはインテリアの延長で、素敵なブロガーさんと同じ道具を集めて飾っていました。でも、おしゃれなデザインの道具を料理に使うのは、もったいなく思えて。人が惜しげもなくふだん使いしている様子を見るにつけ、何て贅沢なんだろうって、ため息ばかりついていたんです。 でも、あるとき母が訪ねてきて、うちにあったル・クルーゼの鍋でご飯を炊いてくれたら、それが本当においしくて!その日以来、わが家のル・クルーゼは雑貨から実用的な道具へと変わりました。
しっかり料理をするようになったのは、結婚して家にいる時間がふえてから。体にいいごはんを夫に作ってあげたくて、日々料理の本とにらめっこしながら、もっと料理の腕が上がるに違いないと、30代は料理研究家の道具ばかりを追いかけていました。 40代の今は、 使ってこその道具という境地にようやく到達。 銅鍋の底はすっかり黒ずんだし、青々しかった竹ざるは黄土色に変色したけれど、それも味と思えるようになってきたんです。
長く使える道具
今の自分に合った道具を選んでいます

包丁の刃当たりがやさしいイチョウのまな板。

玉子焼き器と行平鍋は「中村銅器製作所」のもの。

左から「包丁工房タダフサ」の木の柄の三徳包丁とペティナイフ、「グローバル」の文化包丁、義理の祖父の形見の菜切り包丁。

電子レンジが苦手なので、セイロは必需品。

「鳥越竹細工」のすず竹の楕円ざると貴重なトラフ竹のステンレスざる。

調理中に中が見えて便利なビジョンコーニングのアンバーのお鍋。

水きりには真竹で編んだ茶碗かごを愛用。
愛用の道具を長く使いたくて、近所のおばあちゃんに研ぎ石を借りて包丁を研いだり、まな板を削ったり、念入りにお手入れしています。伝統工芸品の竹ざるは、数少ない職人さんが丹精こめて作っていると思うと、多少壊れても愛おしくて捨てられません。年を重ねて、ますます道具への愛が深まる私です。
※【暮らしを楽しむ人のキッチンをお手本に】は今回で終了です。
→これまでの記事(①・②・③・④)はこちら。
→「暮らし」に関するそのほかの記事はこちら。
→「キッチン」に関するそのほかの記事はこちら。
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