試行錯誤の末に完成した触れたくなる曲線【マルニ木工】HIROSHIMA Vol.2
2023.8.5
「日本の住文化を高めたい」そんな思いで創業したマルニ木工は今年で95周年。
創業以来変わらず木製家具にこだわり、「工芸の工業化」をモットーに職人の手仕事と機械加工のバランスを追求した家具を皆さまに提案しています。
「令和の家具辞典」ではマルニ木工のこと、そして私たちが作る家具のことなどをお届けしていきたいと思います。
少しでも皆さまの暮らしのお役に立てますように。
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#04
深澤直人の「溶かす」ディテール
HIROSHIMA Vol.2
マルニ木工の代表アイテムとなったHIROSHIMAアームチェアの誕生秘話Vol.1。どのように商品が作られたか、そこに込められた思いなど、5回にわたってご紹介いたします。
“溶かす”と聞くと固形のものに熱を加えて液状にすること、例えば「氷を溶かす」などを想像されるかもしれません。
しかしマルニ木工にとって”溶かす“とは、深澤直人さんからのリクエストの言葉です。
発売前の試作品を検討している際にHIROSHIMAアームチェアの一番象徴的な部分でもある、背もたれからアームにかけての接ぎの部分を指して「もう少し溶かして欲しい」とおっしゃられました。
この椅子は有機的な造形で2次元の図面上では確認できない曲線がたくさんあります。“溶かす”とは、木の表情をより柔らかくする、面を磨き落とす、山の稜線のようにぼかすといったニュアンスを表現しています。
原寸大の試作品を見ながら一つ一つ最適な線がどこなのかを試行錯誤してHIROSHIMAアームチェアが出来上がりました。
無意識に触れる
試行錯誤して生まれた椅子を初めて世界にお披露目する日がやってきました。2009年4月のミラノサローネ国際家具見本市です。まだ海外の取引先もなく、マルニという会社を誰も知らない中、会場で必死に呼び込みをして説明を繰り返しているうちにあることに気がつきました。
会場内には数えきれないくらい多くの椅子が展示され凌ぎを削っています。そんな中、HIROSHIMAアームチェアを見て、近寄って、背もたれからアームにかけてゆっくり撫で、座る人がたくさんいました。なぜ通りすがりの知名度もない会社の椅子に皆吸い寄せられるように座るのか。答えは深澤直人さんがこだわった”溶かす”にありました。
人は皆、無意識によい椅子とはどんなものかを頭の中で漠然とイメージしています。それを顕在化して、「そうそう、こういう椅子が欲しかった!」と気づくお手伝いをするのがデザイナーの仕事ですと深澤直人さんはおっしゃっていました。そのためには一番顔になる部分を丁寧に仕上げ、最も美しく、触り心地、座り心地を追求していったのです。
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