【古家具と器】おしゃれな人の暮らしのスタンダード①(前編)
2022.5.25
肩の力を抜いて、楽しく生きるーー。そのコツは、世間一般の“物差し”で幸せを図るのではなく、自分のための“物差し”を持つことではないでしょうか。本日より、何を選べば幸せかを見極め、自分にとってのスタンダードを探し、心地のいい住まいを手に入れた4人の暮らしとストーリーをお届けします。最初に登場するのは、「重ねられない手びねりの土の器や、ていねいに扱わないといけない古い家具が好き」という今泉さん。ものを大切に扱うことで暮らしが自然と整う気がするのだそう。
この記事は、Come home! vol.67より抜粋しています。
家具も器も朽ちてしまう日まで
見守り、ともに暮らしていけるものを
〈今泉美耶さんのスタンダード〉

昭和初期創業のお茶屋さんから譲り受けた、 ガラスのショーケースを食器棚に。家具は経年変化して風合いが出た古いものばかり。

雑貨類は土、木などの自然素材でできたものが中心。作家ものの陶器や流木で作られたアートも、グリーンとの相性がよくて。
学生のころ、私の価値観を語るうえで忘れられない出来事がありました。それは友達の家に遊びに行ったときのこと。友人のお母さんが、カレーを土の風合いを感じる武骨な器に盛りつけてふるまってくれたんです。それは手びねりの小石原焼でした。実家ではカレーは白磁器に盛りつけていたから、器によって料理がこんなにも違って見えるんだと驚いて。それから、自分でもお気に入りの器を探すようになりました。
☑︎私の暮らしを整えてくれるもの
土の器

最近のお気に入りは楠田飛鳥さんの石ころ杯とプレート、紙上征江さんのマグカップ。一つひとつ形が違って個性的。
ガラス器

繊細なクリスタルのブランデーグラスやゴブレットは主人の実家からのお下がり。デザートの盛りつけにも活躍。
木の道具

木のプレートとチーク材のカッティングボードはデザインもサイズ感もお気に入り。乾燥も兼ねてDIYした棚の上に。
鉄の道具

朝食の目玉焼きや夜のおつまみ作りにぴったりなスキレットと両手鍋。使ったあとすぐに洗って乾かし、油をひきます。
とはいえ、器以外には無頓着な時期が長くて。働きはじめてからは仕事が忙しく、日用品や家具にこだわる余裕がなくて、どこでも買える手軽なもので済ませていたんです。出産後は育児にも時間をとられ、気持ちがさらにせわしなくなり、家事が義務のように思えてきました。そんなとき、これは好きではないものに囲まれているからかもと感じて、暮らしが楽しくなるよう、好みの雑貨や家具をそろえることにしたんです。 今では、ものを買うときはデザイン性、機能性、使い心地のバランスを吟味しています。
☑︎壊れたら再生して 長く大切に

仕上がるまでに数カ月かかる本漆を使った金継ぎ。時間も手間もかかるけど、手軽な金継ぎより境目の仕上がりが明らかに違います。
家具はヴィンテージに入れ替えていきました。古い家具に刻まれたキズや劣化は前オーナーの暮らしの足跡。それを受け継ぎ、お互いを見守るような感覚で暮らしをともにすることに豊かさを感じたんです。時間をかけて作られた作家さんの手仕事品、二度と手に入らない古い家具だからこそ、壊さないよう大切に扱うようになり、おのずと暮らし全体がていねいになってきた気がします。
※「おしゃれな人の暮らしのスタンダード①後編」に続きます。5月30日(月)更新予定です。
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