• TOP
  • 暮らし・収納
  • 暮らし上手が手放せない意外な日用品ってどんなもの? Vol.7 坂田敏子さん(前編)

暮らし上手が手放せない意外な日用品ってどんなもの? Vol.7 坂田敏子さん(前編)

暮らし上手が手放せない意外な日用品ってどんなもの?

2022.7.18

素敵なライフスタイルで知られる暮らし上手の人々は、おしゃれなものばかりに囲まれて暮らしているのでしょうか? ふだんの暮らしとは、”おしゃれなもの”だけで完結するわけではないはず。もの選びに優れた審美眼をもつ人々が、日々どんなものを愛用しているのか。そんな、暮らしにまつわる小さな好奇心をもとに、暮らし上手の人々を取材してみました。『おしゃれな人が手放せない、おしゃれじゃないもの』好評発売中!


洋服屋「mon Sakata」店主兼デザイナー 坂田敏子さんの手放せないもの



グラフィックデザイン事務所で働いたのち。結婚1977年、夫の坂田和實さんの「古道具坂田」の一角に子ども服を置いたのが始まり。その後、現在の店で大人服中心に扱う。全国にファンが多く、各地のギャラリーで展示会も行っている。


東京都新宿区下落合3-21-6 


☎ 03-3952-5292 営業時間:11:00~19:00  日・月曜定休 http://monsakata.com/


「夫婦それぞれお店があって、ずっと忙しくしてきたので、家はシンプルに。お互い好きでしていることだとわかっていますしね。コンパクトな住まいで、ものは少なく、食器に作家さんのものを使用する程度です」


 そう話す坂田さんですが、だからこそラクに使えるもの、これさえあれば大丈夫というものを手許に置いてきたともいえます。見せていただいたのは、本当に長く愛用しているものばかり。ご主人が手に入れた品やどこで買ったかすでにわからない品も多数です。


アルミのバケツ


 家には3つ、バケツがあります。特に気に入っているのが、ご主人が持ってきた木の持ち手がついたものです。内側には目盛りもあり、小学校の給食用だったのか……。


 傘立てや物入れとしても使いますが、最も出番が多いのは花入れとして。買ってきた切り花をばさっと入れるだけでさまになります。


「下手に古い土器なんかに入れると、やめろって言われるのよ。バケツがいちばん!って。頑固なんですよ。でも確かにバケツが合う。構えなくてすむの。気張らず自由に飾れます」



ご主人の坂田和實さんがどこかで手に入れた古道具だが、それからすでに20年以上。掃除などには使わず、切り花や鉢植えを入れる。



 作家ものの陶器に入っていた黒いものは、艶やかなウバメガシの備長炭でした。


「昔から炭も焚火も好きなんです。火を見ているとなんだかうきうきするでしょう?」


 子どもの頃は渋谷の家でも炬燵や火鉢に炭を使っていたそうですし、中学高校では率先してストーブ当番に。現代では都市部でそんなふうに実際の火を燃やすことはできません。それが残念で、数十年前から炭だけを部屋に置くようになったのだといいます。消臭や湿気取りの効果を期待して、住んでいるマンションでは玄関やあまり使わない和室に配置。燃せない炭を、道具として生かしているわけです。



炭の中でも硬さ、火持ち、艶のある美しさなどから最高級品に位置づけられるのが、ウバメガシで作る紀州備長炭。10本2000円くらい。


雪平鍋


 いくつもある中、よく使う3つ。口径が18㎝強と15㎝の2つは野菜を茹でたり、カボチャや里芋を煮たり。うどんを作るにもこのどちらか。アルミ打ち出しで熱伝導率がよく、調理もスピーディです。近所の荒物屋でしばしば買い替え、今使っているのは2、3年め。口径13㎝ほどの小さい鍋は個人の工房で作っていて、深い鋭角になった注ぎ口が特徴。少量の茹でものやソース作り、1人分のお味噌汁用に。


「家には大きい鍋もあるけれど、大勢で集まることもなくなってきた今は、この3つと小さなフライパンで充分」


 実は「古道具坂田」は、ご主人の体調不良から2020年に閉店しました。坂田さんは加療を続けるご主人を気遣いながら、一人で食事をする日も多くなりました。けれど、使い慣れたこの3つの鍋があれば、手早く調理でき、ご主人の好きな牛乳もおいしく温められるのです。



口径18.5㎝と15㎝のものは荒物屋で2000円程度。いちばん小さいものは「鍛金工房WEST SIDE33」製。5000円前後。






撮影/林 ひろし 文/秋川ゆか


この特集記事一覧はこちら


登場するのは8人の暮らしの達人


1 編集/ライター 一田憲子さん
2 北欧ソト料理家 寒川せつこさん
3 布作家 早川ユミさん
4 「のみや パロル」オーナー桜井莞子さん
5 シニアブロガー ショコラさん
6 整理収納コンサルタント 瀧本真奈美さん
7 セレクトショップ「copse」オーナー 小森知佳さん
8 洋服屋「mon Sakata」店主兼デザイナー 坂田敏子さん


著名人のおしゃれな愛用品を紹介する本は数多くありますが、本書は世に多数ある素敵な生活道具の紹介とは真逆の、デザインやブランドにこだわらず、彼女たちが「これでなくては! 」と手放せない日用の逸品を探り出した一冊。



「こんなにおしゃれな暮らしをしている人が、デザイン以上に実用性で選んで使い続けているものがあるんだ! 」という意外性と、説得力に満ちています。これまで紹介されてこなかった手放せない道具にまつわる物語の面白さあり、暮らしの達人による詳細な商品レビューあり、購入できる商品情報も満載で実用性も充分。


本当に使いやすいもの、その人の暮らしにとって欠かせないものを通して、それにたどり着いた人生に触れ、物を通して見える、生き方や考え方をひもときます。



100円から手に入る、暮らしの達人たちのお墨付きの日用品を、ぜひお試しください。









 


今週の人気記事

Instagram

line

女性向けのナチュラルなインテリア情報誌です。子供や家族を前提とした
インテリア&家つくり情報を中心に、リノベーションなども紹介しています。
また、「暮らしのなかにある小さな幸せ」を大切に、
自分らしく、心地よく暮らすためのアイデアを紹介するインテリア雑誌です。

line