暮らし上手が手放せない意外な日用品ってどんなもの? Vol.9 桜井莞子さん
2022.7.26
素敵なライフスタイルで知られる暮らし上手の人々は、おしゃれなものばかりに囲まれて暮らしているのでしょうか? ふだんの暮らしとは、”おしゃれなもの”だけで完結するわけではないはず。もの選びに優れた審美眼をもつ人々が、日々どんなものを愛用しているのか。そんな、暮らしにまつわる小さな好奇心をもとに、暮らし上手の人々を取材してみました。『おしゃれな人が手放せない、おしゃれじゃないもの』好評発売中!
「のみやパロル」オーナー 桜井莞子さんの手放せないもの
ケータリングの会社を立ち上げたのち、初めの「ごはんやパロル」を開き人気を博す。東京・青山で現在の「のみやパロル」を再開。娘さんの海音子さんも厨房に立ち、切り盛りしている。器使いのセンスにも定評がある。
東京都港区青山2-22-14 フォンテ青山101 ☎03-6434-5959
営業時間等の詳細はインスタグラム@のみやパロルで。
シリコンのキャップオープナー
握力が落ちて瓶の蓋が開けづらいと感じるようになってから、必須となっています。いつも使っているのは2種。ひとつはドイツ・コロネット社の平らな円形のもの。蓋部分にかぶせてひねれば、ワインのスクリューキャップもさっと開けられます。鍋つかみとしても使えるそう。もうひとつは「RIDGE BY KELTY」の名が入ったシリコンの輪っか。瓶詰めなどの蓋を囲むようにセットして使います。
「海外のピクルスとか蓋がきつい瓶もすっと開けられるから、本当に頼っていますね」
ドイツ・コロネット社のものは鍋つかみや鍋敷きにもなる。今は販売していないが似たものは300円ほど。リング状のものも長く愛用。
さらし
昔からあるものですが、知っている人は少ないかもしれません。お祭りで神輿を担ぐ人が胴に巻く白い木綿布がそう。蒸し器の敷き布、自家製カッテージチーズの水抜き、レタスの水気取り、さらに湿布にも包帯代わりにもと実に用途多彩なのです。10m以上あるので、必要分を切り、糊を洗い落としてから使います。
桜井さんの利用法は、出汁漉しやヨーグルトなどの水切り。魚や肉などを切ったまな板も濡らしたさらしで拭きます。使用後は煮沸して乾燥。
「意外なほど安いですし、一回買えば相当にもつと思いますよ」
今使っているのは江戸時代からの歴史を持つ知多木綿の「東天晒」。34㎝幅の布約10.2mが折りたたまれて入っていて、1000円から1500円程度。
「リッター」ピーラー
桜井さんは、皮むきは断然「リッター」派。
「切れ味は素晴らしいし、持った時のサイズ感もいい。使い勝手は抜群」と声を揃えます。
ステンレス製のしゃれたものを買ってみたこともありますが、やはりこれに戻ったそう。刃が回転するので、いびつな形の野菜もスムーズにむけます。今使っているのは5代目と6代目。非常に頑強な品ですが、やはり料理の仕事をしていると使用頻度がまるで違います。家庭で使うぶんには数十年でももつに違いありません。
ドイツで100年以上の歴史を持つリッター社のピーラーは世界の定番品。ジャガイモの芽掻きもついている。550円という安さも魅力。
「長次郎」わさびおろし
生の本わさびをおろす道具です。天然木に本鮫の皮が貼ってあります。伊豆では特産の生わさびをよく買うという桜井さん。
「これで円を描くように擦ると、香りも辛みも鮮烈。おろし器を使うのとは全然違うのよ」
江戸時代から今にいたるまで使い続けられてきた道具には、残るだけの理由があるということ。サイズは小から超々特大までありますが、愛用は、ほどよい大きさの中サイズ。
「長次郎」とは岐阜県で鮫皮おろしを手作りするワールドヴィジョン社のブランド。国内外の寿司屋、和食店で使われている。中は3190円。
撮影/林 ひろし 文/秋川ゆか
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登場するのは8人の暮らしの達人
1 編集/ライター 一田憲子さん
2 北欧ソト料理家 寒川せつこさん
3 布作家 早川ユミさん
4 「のみや パロル」オーナー桜井莞子さん
5 シニアブロガー ショコラさん
6 整理収納コンサルタント 瀧本真奈美さん
7 セレクトショップ「copse」オーナー 小森知佳さん
8 洋服屋「mon Sakata」店主兼デザイナー 坂田敏子さん
著名人のおしゃれな愛用品を紹介する本は数多くありますが、本書は世に多数ある素敵な生活道具の紹介とは真逆の、デザインやブランドにこだわらず、彼女たちが「これでなくては! 」と手放せない日用の逸品を探り出した一冊。
「こんなにおしゃれな暮らしをしている人が、デザイン以上に実用性で選んで使い続けているものがあるんだ! 」という意外性と、説得力に満ちています。これまで紹介されてこなかった手放せない道具にまつわる物語の面白さあり、暮らしの達人による詳細な商品レビューあり、購入できる商品情報も満載で実用性も充分。
本当に使いやすいもの、その人の暮らしにとって欠かせないものを通して、それにたどり着いた人生に触れ、物を通して見える、生き方や考え方をひもときます。
100円から手に入る、暮らしの達人たちのお墨付きの日用品を、ぜひお試しください。
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