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【防災×キャンプ】楽しみながら始める備える暮らし「テントの話」



2022.8.8

 感染症の蔓延、たび重なる自然災害は、暮らしを楽しむことを自重させる風潮も、もたらしました。そして、非常時の備えについても情報があふれているなか、はたしてそれが充分なのか、実際に役に立つのか、不安を抱えながら過ごしている方も多いのでは? そう、備えているだけでは「もしも」の時に使いこなせないのです。だからこそ今、日常から始める“楽しく備える暮らし”を! その鍵となるのは、アウトドア。日常生活と防災の意識を結びつける道具とスキルを伝え、心豊かに生き抜く術を、アウトドアと防災のプロ・寒川さん夫婦の暮らしに学びます。


キャンプを楽しめれば、「もしも」の時に必ず役立つ



そもそもキャンプで人は何をするのでしょう?


 テントを張って寝泊まりする。火を焚く。調理して食べる。自然のなかで遊ぶ。


 ここには、住まい、明かり、暖、調理火力、炊事と食事、遊びという日常生活の基本が詰まっています。とはいえ自宅のような便利な設備はないので、少ない道具を駆使して、野外で楽しく快適に過ごせるよう工夫しなければなりません。


「つまり、自分たち自身で暮らしを組み立てていくということ。何度も経験するうちに、家の外でも生活ができる力と自信がついていきます」と、一さんは言います。


 焚火に適した枝を探して火を起こす、風向きや天候を見て、時には雨の中でキャンプをする、といった経験も、生きるための力になります。


 だから寒川さん夫婦は、発電機や大きなバーベキューグリル、豪華な食材などを運び込む大がかりなキャンプはすすめません。非常時にそうしたものは持ち出せないからです。役立つのは、コンパクトに運べて、複数の用途に使えるシンプルな道具。調理のほか火を起こしたり木を削ったりできるナイフ、夜の明かりと暖房、調理をまかなう焚火台などもそう。日差しや雨を除けるタープは、身体をくるんで寒さをしのぐこともできます。


 こうした道具を多用途に活用するには、慣れと想像力が必要です。タープの説明書に〝防寒にも使えます〟などとは書いてありません。キャンプで幾度も実際に使い、災害時にもスムーズに活かせるようスキルを磨いておくことが不可欠なのです。


避難場所としてのテントがあれば、独自した避難ができる



 販売されているテントには〝〇人用〟という表示がされています。


「けれどそれは、めいっぱいに詰めて寝られる人数。たとえばひとりでゆっくり眠りたいなら2~3人用くらいはなければ」と、せつこさん。「家族4~5人でテント泊をするなら、その1.5倍くらいの人数表記があるものがいいですね」


 眠るだけなら、山岳用や自転車旅用など寝袋を覆う程度の小さく低いものもあります。中で過ごすことを考えなければテントの用は足ります。また、少人数用のドーム型テントやワンポールテントは、腰をかがめて出入りし、内部も真っ直ぐ立つだけの高さはありません。これらも、テント内は寝る場所に特化するという想定でしょう。


 テントの外にタープを張って、リビングやキッチン、昼寝場などとして外で広々と過ごせる状況が得られるならば、そうしたタイプを選ぶのも一手です。


 一方、テント内だけで幾日も過ごす可能性があるなら、内部の広さと居住性を考えて選ぶべきです。災害時にテントで避難生活を送る場合などがそれにあたるでしょう。


せつこさんは「1、2泊のキャンプなら低いテントでもいいですが、避難生活では1週間以上テント内で暮らすかもしれません。それを考えるなら、ぜひとも中で立って歩ける高さのあるものを。それだけで疲労度はまるで違ってきます。遊びのキャンプで使うにも、とてもラクですよ」


使ってきたなかで一番のおすすめは、8人用のドーム型テント。そこにコット2台をゆったりと置いて2人で過ごすのです。


「テント用薪ストーブを設置すれば、寝転んだままでお湯を沸かして暖も取れ、中で調理もできます。遊牧民のように何週間でも暮らせて、家にいるより快適なくらい」


 外での焚火も魅力ですが、テント内という囲まれた場で寝起きすることには、また別の安心感があります。低い仮設間仕切り程度しかない避難所生活に対し、家族や個人だけの空間をもてるテントは、ストレスの蓄積もずいぶんと違ってくるでしょう。避難先の駐車場などでの車中泊を選ぶ場合も、小さなものでもよいので外にテントを張ることができれば、手足を伸ばして横になり、疲れをとることができます。



取材/秋川ゆか 撮影/飯貝拓司


8/26発売 『「サボる」防災で、生きる』 では楽しく備える暮らしのテクニックをたっぷりとご紹介しています。


アウトドアライフアドバイザー寒川一・北欧ソト料理家 寒川せつこ著

定価:1650円(本体1500円+税10%) 四六判/128ページ

寒川 一
災害時に役立つアウトドアの知識をキャンプ体験、防災訓練、書籍などを通して伝えるアウトドアライフアドバイザー。北欧のアウトドアプロダクトを多く扱う(㈱)UPIアドバイザー。アウトドアでのガイド・指導はもちろん、テレビ・ラジオ・雑誌といったメディア出演など、幅広く活躍中。東日本大震災や自身の避難経験を経て、災害時に役立つキャンプ道具の使い方・スキルを教える活動を積極的に行っている。著書『焚火の作法』『キャンプ×防災のプロが教える新時代の防災術』他。

寒川せつこ
北欧ソト料理家、UPIアドバイザー。スカンジナビアの自然と、豊かに暮らす人々との繋がりから、スカンジナビアのアウトドア文化を主に料理ワークショップを通して発信。レシピ提供したメディアは、「NHK 趣味どき!/たのしく防災!はじめてのキャンプ」、「メスティンレシピ」、「ソトレシピ」など多数。

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