【アナログな道具】暮らしを楽しむ人のキッチンをお手本に①(後編)
2023.1.18
生きることに直結する、大切な食事を作る「台所」。ここですごす時間は意外と長く、そこに何を求めるのか、たまには模索するのもいいもの。そのためのお手本になるような、暮らしを楽しむ“台所時間が上手な人”をご紹介していきます。前回(前編)より登場しているのは、キッチンと庭で「自然の循環」を楽しむ日高さん。後編では、台所で使う道具選びについて話していただきました。効率重視の時代においても、ゆっくりした時の流れも大事にする姿勢が伝わってきます。
この記事は、Come home! vol.69より抜粋しています。
case 01 自然の循環を楽しむキッチン
私の道具選びは
便利さのものさしではなく
“感性”のものさしで価値を測ります
意識を集中させて、暮らしの音や
時の流れ、 過程を楽しみたいんです
〈日高裕美子さん〉
庭の畑やコンポストでプロセスを楽しめるようになると、自然と目が向くのがアナログな道具。「時短」がキーワードの便利な道具があふれている今、真逆の価値をもつ手仕事品です。

野菜をゆでるのに便利な「市川籠店」のすいのう、「松野屋」の篠竹ざるなどざるは用途で使い分け。ゆで物は片手のアルミ鍋が便利。
農家の台所のような
暮らしの息づかいを感じられる場所に

飾るというより雑多にそのまま置かれたような雰囲気が好きで、中途半端に置いても絵になる空間づくりを意識してます。

背面棚はDIY。壁面はグレーの下地に白とクリームを塗り重ね、木炭をすり込んで風合いを。
音や手触り色の変化も
料理をする楽しみのひとつ

サワラ材の香りが漂う「木曽さわら すし飯台」。おにぎりを握るときやそうめんにも。

「かもしか道具店」の陶製のやかん。シューっと鳴る湯気の音に癒やされて。
お湯なら電子レンジでも沸かせるけれど、私はケトルに水を入れて火にかけるのが好き。陶器やガラスならなおのこと、ていねいに扱わなければなりません。「立ち止まってゆっくりお湯を沸かしてごらん」。そんなメッセージがこめられたやかんを扱っていると、急いていた気持ちも落ち着いてきます。浅漬けだって、保存袋で作れば洗い物も少なくて済むけれど、ガラスのボウルで作れば見た目が鮮やかできれい。

じか火にかけられる「BOROSIL」の実験用ビーカー。沸いたお湯でお茶を 。

継ぎ目のないガラスでできた「廣田硝子」の砂時計。
オンラインショップというスピード重視の仕事をしているからこそ、なんでも効率主義になりすぎないよう、あえてスピードダウンする必要性を感じています。キッチンカウンターを整えてろうそくを灯したり、デジタルタイマーではなく砂時計で時間を計ったりするのは、揺れる炎や、流れ落ちる砂を眺めることで、ゆっくりとした時の流れに意識を向けることができるから。アナログな道具はちょっと不便だけれど、忘れていた感覚を思い出すのにひと役買ってくれます。
時には、大好きな料理がおっくうに感じることも。アナログな道具と向き合っていると、 そんな自分を知ることもあります。でも、そんな日もあるね、ほどほどでいいよねと受け止めていくのも学び。そうして五感を研ぎ澄ませ、〝わくわくの種〟を探すんです。
※【暮らしを楽しむ人のキッチンをお手本に②(前編)】は1月23日(月)11時〜公開予定です。
→前回の記事 ①(前編)はこちら。
→「暮らし」に関するそのほかの記事はこちら。
→「キッチン」に関するそのほかの記事はこちら。
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