【青梅のカリカリシロップ漬け】梅干しや梅酒より簡単! 井澤由美子さんに教わる初夏の手仕事
井澤由美子さんの初夏の手仕事
2023.6.17
国際中医師でもある料理家の井澤由美子さん。旬の素材がもつ力を引き出す保存食作りに力を注いでいます。季節の巡りで変わる体の声に耳を澄まし、それに見合う食材を取り入れて心と体を整える…。自然の恵みを保存食にして楽しみながら、その術を教えていただきます。さらに、保存するだけでなく、その先の楽しみ方のあれこれも。第1回は「青梅のカリカリシロップ漬け」をご紹介します。ほんのり甘塩っぱい味わいがクセになるおいしさ! 梅仕事はやってみたいけど、手間や時間がかかるのはちょっと…と思っている方にもおすすめのひと品です。

料理家・養生デザイナーの井澤由美子さん
クエン酸が疲労回復に貢献! 青梅のカリカリシロップ漬け
ぽとっ、ぽとっと音を立てて梅の実が庭に落ちる音が聞こえたら、今年も梅仕事の始まりです。梅干し、梅酒、梅しょうゆ、梅ジャム…など、さまざまなものを仕込みますが、なかでも初めての方でも簡単に作れるのがシロップ漬けです。梅には、疲労の原因「乳酸」を体から排出する効果のあるクエン酸が多く含まれます。さまざまな疲れが重なり、体がだるい…。そんなときにおすすめなのがこれ。梅干しのように手間もかからず、仕込んで1週間くらいからおいしくいただけるので、忙しくて時間がないという方でも大丈夫。ぜひ作ってみませんか?
漬けた梅の実もシロップも楽しみ方いろいろ
最初に塩もみをしてから氷砂糖で漬けるので、甘さだけでなく、ちょっぴり塩味も感じられます。甘ったるさが苦手な方にも、これは食べてみてほしい。カリカリ食感もたまらないおいしさです。ちょっと口寂しいときのおやつ代わりにもなりますし、漬けもの感覚で刻んで、薬味のようにも使うこともできるんですよ。また、シロップは炭酸で割ったり、みりん代わりにしたり。梅のエキスを余すことなくいただくことができます。
卵の殻が「カリカリ食感」の決め手
〈用意するもの〉
青梅…20〜25個(800ℊ〜1㎏)
塩…大さじ2
氷砂糖…青梅と同量
卵の殻…適量
※梅に含まれるペクチンは、カルシウムと結びついて身を引き締めます。そのために使うのが卵の殻。カリカリ食感に仕上がります。青梅は果皮に張りがあって、色鮮やかでキズが少ないものを選びましょう。入手したら早めに仕込みます。氷砂糖はグラニュー糖でもOK。甘さを控えたい場合は少なめにしても。
〈作り方〉
1 アク抜きをする
梅はよく水洗いしてたっぷりの水につけ、2時間ほどおいてアク抜きする。へたを先に取ると、そこから水分が入ってしまうので、へたつきのままでOK。
2 卵の殻の準備をする
卵の殻はよく洗って内側の膜をむき、600Wの電子レンジに1分30秒かけて乾かす。乾いたらお茶パックに入れて軽くつぶす。
3 へたを取る
ざるにあげ、ペーパータオルで水けを拭き、竹串などの先でへたを取る。
4 塩もみする
ポリ袋に梅を入れて塩を加え、全体をよくもみ込む。30分くらい常温におくと、水分が出て少しやわらかくなる。
5 半分に割る
塩をさっと洗い流して水けを拭き、梅の筋に沿ってぐるりと切り込みを入れる。木べらなどで上からぐっと押さえて割り、種を取り出す。
6 漬ける
消毒した清潔な保存びんに2の卵の殻と5の梅を入れ、氷砂糖を加える。密封して1日1回ほどびんを振り、氷砂糖が溶けるまでは常温に置く。溶けたら冷蔵で保存する。漬けて1週間ほどで食べられるようになる。保存は冷蔵で1か月ほど。
シロップ漬けの楽しみ方
実はそのまま食べるほか、ヨーグルトにトッピングしても。シロップは炭酸水で割ると、のどごしさわやか。夏の暑い日にもぴったりのドリンクになります。そのほか、簡単なアレンジもひとつご紹介しましょう。
アレンジレシピ「青梅としょうがのピリ辛薬味」
カリカリシロップ漬けを刻んで、豆板醤などと混ぜるだけ。炊きたてのご飯にのせて、焼きのりや青じそで包んで食べると最高! そのほか、冷ややっこにのせたり、そうめんの薬味にしたり、いろいろ楽しめます。
〈材料(作りやすい分量)と作り方〉
カリカリシロップ漬け30ℊは粗みじんに刻む。梅シロップ小さじ1/2〜1、かつお節適量、刻んだしょうが大さじ1、豆板醤大さじ1を加えて混ぜる。
次回は「完熟梅のコンポート」をご紹介します。6月29日投稿予定です。
取材 坂本典子 撮影 北原千恵美
井澤由美子(料理家・養生デザイナー)
調理師、国際中医師、国際中医薬膳師。旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理が人気。発酵食や薬膳にも造詣が深く、手作りのよさを伝えている。レモン塩、乳酸キャベツなど、さまざまなブームの火付け役でもある。NHK「あさイチ」「きょうの料理」などのメディアで活躍するほか、体に優しい商品開発を手がける。著書多数。
東京食楽Labo主宰(国際中医薬膳師試験認定校)
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